| † 垢 〜く〜† | |
| とぎすまされたナイフのように微笑んで 胸に突き刺さるような澄んだ水のように愛を語り しなやかな黒猫のような身のこなしで 彼女は人々の間をすり抜けていく・・・ 誰も彼女の足跡を見たことがなく 彼女の移り香さえも知らない みんな夢中で彼女を追いかけるけど いつも肩を落として帰ってくる 私は見た 暗闇に彼女が一人うずくまり 上手に垢(く)の衣をたたんでは 一枚ずつそっと闇の湖に沈めているのを・・・ その時の彼女の顔が夜毎にやつれていくのを・・・ そして私は知っている 脱いでも脱いでもまとわりついてくる垢(く)の衣に いつか彼女はがんじがらめになって 闇の湖の底へ一緒に沈んでいってしまうのを・・・ それでも人々は何も気づかずに追い続けるのだろう 彼女に似た誰かを・・・ |